創業117年の老舗家具メーカー境木工は新しい取り組みとして、「ReGrowth Project(リグロスプロジェクト)」を2023年からスタート。国内、海外の生産背景を構築してきた今までの家具づくりノウハウを生かし、優れたデザインの再生を目的とした取り組みです。
境木工は、家具の町である福岡県大川市にあります。明治40年に創業し、婚礼家具の流れを汲む大川工場と地場でもいち早く海外生産の可能性に着目し輸入に取り組んできた経験を背景とする商品が強みです。
この度、新たな製品開発の仕組みとして、さまざま理由により製造が終了した日本の優れたデザインに焦点を当て、製品の諸権利を有するデザイナー・団体の協力のもと、現代の技術と境木工の商品開発力を活用しながら時代に合わせたブラッシュアップを行うことで未来に引き継いでいくことを目標とした「ReGrowth Project」を始動致しました。
〇ReGrowth について
家具業界におけるリプロダクト品といえば、名作家具と同じデザインの廉価品というイメージがあります。
今回のプロジェクトではデザイナー本人と協力し、過去に生産していた商品を現代の価値観に合わせて正式にブラッシュアップを行う物であり、一般的なリプロダクト品とは異なります。
そこで、 再成長、再繁栄、再増殖、新たな芽吹きなどの意味を持つRegrowthという言葉を作りました。
〇デザイナー紹介
村澤一晃(むらさわかずてる)
1 9 6 5 年東京都生まれ。 I C S カレッジオブアーツ卒業。垂見健三デザイン事務所を経て、1 9 8 9 年イタリアに留学。
1 9 9 0 年よりセルジオ・カラトローニデザイン事務所(ミラノ) に勤務。家具デザイン・インテリアデザイン・展示会会場デザインを中心に担当。
1 9 9 4 年、ムラサワデザインを開設。
「デザインは生活や行動のすべての中にある」を信条として机で図面を描くのがデザインではないことを実践。
国内2 0 0 以上の工場を歩き回る。道を歩くとき、飛行機で移動するとき、稼働する工場を見つめるとき、誰かと会話をするとき、そこからデザインを紡ぎ出していく。
・スラント チェア
北海道のインテリア ナスにて製造していた商品。会社の閉鎖と共に生産中止に。
商品について:
すっきりとした見た目と、傾斜のついた脚部が特徴的な商品。
リグロスポイント:
カラーバリエーションを増やすことで、シンプルな見た目とかわいらしさを活かし、ダイニング・デスクなど幅広い使い方を提案するシリーズとして展開を始める。
・クレイドル チェア
兵庫県の東亜林業にて生産していた商品。会社の業態変更と共に生産中止に。
商品について:
背もたれの曲線形状とゆったりした座り心地が特徴。
リグロスポイント:
オーク材を使用し、流線形上に木目の美しさをプラス。
フレームカラーと座面色をなじみのいい色合いに変更。部材の接合方法を見直すことで、構造的な特徴も明確にした。
また、デザインのDNAを継承したラウンジチェアも新作として追加。リグロスプロジェクトの開発によるシリーズ展開の足掛かりとなるアイテムとして提案する。
・ピアースチェア
岐阜県の野田産業にて生産していた商品。
商品について:
丸棒を生かした柔らかい印象とカバーリング座面が特徴の商品。グッドデザイン賞を受賞していました。
リグロスポイント:
木目の優しいビーチ材を使用し、柔らかな印象を強調。座面構造も見直し、軽量ながら抜群の着座感を実現している。
ビーチ材に着色をすることで、カラーバリエーションも追加している。